2019年07月16日

【プレミアム付き商品券の経済効果】

2019年10月に予定される消費増税(10%への増税)に伴う「痛み」を緩和するために、政府の方針により、全国の自治体が、住民税非課税世帯、子育て世帯を対象に、プレミアム付き商品券を販売します。

新宿区でも9月から販売が開始されることとなり、その周知も始まりました。
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このプレミアム付き商品券、新宿区では、5000円分の商品券を4000円で購入でき、1世帯当たり最大25000円分の商品券を2万円で購入することが可能です。
つまり、1世帯当たり最大5000円分のプレミアムを給付することになります。新宿区全体では、最大約4億円のプレミアムが給付される予定です。

商品券は新宿区内の小売店、飲食店、医療福祉関係機関等でのみ使用することができるので、消費税の影響を受ける世帯が、消費税の影響を受ける地場のお店等でお金を使うことを促進し、地域経済が活性化することを狙った事業です。
このように説明すると、大変素晴らしい事業のように思われるかもしれません。

しかし、このプレミアム付き商品券の発行事務は、外部業者(新宿区ではリクルート関連)に委託され、この委託費が約4億円かかります(新宿区の場合)。

4億円のプレミアムを給付するために、別途4億円をかけて発行事務を委託しているのです。全体で約8億円かかる事業ですが、区民や区内事業者にわたるお金はその半額にすぎません。

この事業の概要が判明したとき、区議会では驚きの声が上がりました。なぜ8億円全部を、住民税非課税世帯、子育て世帯に直接現金で給付しないのか、誰でも不思議に思うはずです。

区議会での質問に対する答弁では、国が予算を作る際に、プレミアム付き商品券という形式でしか事業を行うことができない設計となってしまい、区では商品券の発行事務を行うことが難しいとのことでした。

2015年の地域飲食券事業もそうでしたが、最近は、政府の経済対策として行われる事業は、家計に直接給付を行うのではなく、大手の業者に委託を行わなければ実施できないものが増えてきています。
大手の業者に支払われる委託費のどれだけの割合が消費に回されて経済効果を生み出すのか、むしろ全額を家計に給付した方が、より多くの消費を呼ぶのではないかという疑問が湧いてきます。

このような疑問のつきまとうプレミアム付き商品券というお金の回し方については、今後見直しが必要ではないかと思います。
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posted by 三雲たかまさ at 18:22| Comment(0) | 経済政策

2019年07月10日

【区有施設のヘイトスピーチ防止のための利用制限】

初当選以来、新宿区議会において、ヘイトスピーチ目的での区有施設の利用制限を訴えてきましたが、ようやく新宿区でも利用制限を規定する基準を策定することになりました。
(詳細は添付写真をご覧ください。)
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平成28年の予算特別委員会で初めてこの問題を取り上げた際には、「事前に個別な案件に対して利用の承認、不承認というのは難しい」という答弁でした。(議事録で見る限り、それ以前に施設利用制限を求めた質問はなかったようです。)

その年の5月にヘイトスピーチ解消法が成立し、9月の定例会一般質問で、再度、「区有施設を用いたヘイトスピーチを、憲法に規定される表現の自由に配慮しながら規制するためには、条例又は規則等において使用の許否を判断する基準や手続を規定する必要がある」と指摘しましたが、その際も「具体的な許可基準などを規定することは考えていない」との答弁でした。

それから2年半が経過し、川崎市のガイドラインの運用状況や、東京都の条例・基準制定を踏まえ、特に東京都と足並みを揃える形で、新宿区でも利用制限基準を策定することとなりました。

本日の総務区民委員会でこの件の報告があり、まずはこうした基準策定に進んだことについて謝意を述べさせていただきました。

ただ、内容を見ると、利用制限に至るには、@ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高いこと(言動要件)及びAヘイトスピーチに起因して発生する紛争等により、施設の安全管理に支障が生じる事態が予測されること(迷惑要件)、の双方の要件を充足する必要があります。

これは川崎市のガイドラインも同様ですが、迷惑要件を要求する場合、これまでの「公の秩序を乱し、または善良な風俗を害するおそれがあるとき」という要件とあまり変わらないのではないかと指摘しました。

区も、その点は認識し、検討したようですが、判例上認められる施設利用制限の範囲を超えるとの批判を懸念し、言動要件のみでの制限には踏み切らなかったようです。

言動要件のみによる制限については、今後も他の自治体の動向やそれにまつわる裁判例の蓄積があるはずなので、よく研究していただきたいと要望しました。

このように、ヘイトスピーチ目的での区有施設利用制限については、まだ課題の残るところですが、今回基準ができ、学識経験者の意見を聴取しつつ許否を判断する枠組み(手続)が運用されることは、大きな前進であると思います。
(これまでは、ヘイトスピーチ目的での施設利用に対し、公序良俗を理由に利用拒絶をした例は存在しなかったようです。)

「新宿区ではヘイトスピーチ目的での施設の利用は許されない」ということが一般に浸透し、区内でのヘイトスピーチ集会等が無くなるよう願います。

なお、新宿区は、この基準案について、7月15日から7月31日までの間、パブリック・コメントを実施します。


ご意見のある方は、上記リンク先をご参照ください(7月15日から情報が掲載される予定です。)。
posted by 三雲たかまさ at 17:36| Comment(0) | 議会活動

2019年07月05日

憲法9条の改正(改悪?)と「文民統制」

新宿区内在住の憲法研究者である岩田行雄さんから、その新著である「検証・マッカーサー書簡の所在と憲法第九条『幣原首相提案説』」を頒けていただきました。

日本国憲法誕生の経緯については国立国会図書館のアーカイブ「日本国憲法の誕生」にも詳しい解説と資料があります(下記リンク先)が、岩田さんの著作は、当時の資料、議事録を丹念に調査して紹介されており、大変勉強になります。


この著作の中で、マッカーサー元帥が1951年5月3日から米国上院の軍事・外交合同委員会で行った証言の翻訳(岩田さんの独自訳)が掲載されており、総理大臣が憲法9条の改正を主張している現在の日本にとっても重要な示唆があると思われるので紹介します。

合同委員会3日目の1951年5月5日、ウェイン・モース上院議員は、憲法に規定された議会による宣戦布告のないままに朝鮮半島における戦闘が拡大していることについて質問しました。

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モース(以下「モ」):貴官は、我々が宣戦布告を、北朝鮮人達に対して、あるいは、中国の共産主義者達にすべきだったと考えていますか?

マッカーサー(以下「マ」):私は、我々が事実上、戦闘に入ったと考えている。しかし、戦闘は限定されたものであった。(中略)これは、私が批判したいことの一つである。

モ:だが、軍事行動そのものに関しては、我々はまさしく朝鮮で戦闘をしている。(中略)まるで合法的な宣戦布告があったかのように。(中略)朝鮮における我々の軍事行動が、正式な宣戦布告に基づいているかどうかに関して、憲法問題を引き起こしているだろう。

マ:朝鮮で軍事行動をとっている我が方の軍隊は、国連の委任に基づく決定に従っており、そして、国連の戦闘は、彼らの宣戦布告に基づくものと考えられる。

モ:それは貴官の見解ですか、元帥。我々は現在、国連のメンバーだから、合衆国国会(議会)による宣戦布告、憲法問題抜きに、合法的に、戦争が出来る権力行使を包含していると考えますか?

マ:我々は、実際にそうした。それが、適法なのか、合憲なのか、私には理解できなかった。

モ:我々はいかなる宣戦布告もなしに、戦争の中にあった…。
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(添付写真で岩田さんの翻訳を掲載しますが、モース上院議員の抱いていた危機感が生々しく表現されています。)

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そのうえで、モース上院議員は、マッカーサーが合衆国軍隊の最高司令官である大統領の権限を尊重する意思があるかどうか、念押しをしています。

当時、マッカーサー元帥は、朝鮮戦争の指揮に失敗しただけでなく、原爆使用を含めた大規模な空爆と中ソを相手とする全面的な戦闘を主張し、戦争を限定的なものにとどめようとするトルーマン大統領を批判するなどしたために解任され、重大な文民統制(シビリアンコントロール)違反が批判されていました。

日本では、GHQ司令官として民主化を進めたマッカーサーに対する好意的な見方が多いと思いますが、米国では憲法秩序である文民統制を破壊しようとする軍人として批判の対象となったのです。

憲法で宣戦布告を議会の権限と規定し、軍やそれを統帥する大統領をけん制している米国においてすら、こうした問題が生じ、後にベトナム戦争の長期化を契機として、大統領の軍隊使用の権限を規制する戦争権限法が成立しました。文民統制は、憲法と法律によって幾重にも規定しておく必要があり、それでもマッカーサー元帥のような軍人が現れた場合には破られる危険をはらんでいます。

現在、日本では現行の憲法9条に加え、「必要な自衛の措置をとる」ための「実力組織」として「自衛隊を保持する」旨の改正が提案されています。しかし、この提案では「自衛隊」の行動の制約について何らの具体的規定も設けられていません。

文民統制の重要性については、軍隊を持たない日本ではそれほど生々しい問題として意識されることがないと思いますが、約70年前の米国が直面した課題を踏まえ、憲法に国家機関としての実力組織の存在と権限を書き込むことの重大性を十分理解する必要があると思います。

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posted by 三雲たかまさ at 16:18| Comment(0) | 日記

2019年04月27日

新宿区議会議員選挙について

2019年4月21日に投開票が行われた新宿区議会議員選挙において、2042票をいただき、無事当選いたしました。
1週間にわたる選挙期間、街宣車を回し大きな音でお騒がせをいたしました。
また、ご協力をいただいた全ての皆様に感謝いたします。
今後、新宿区のため、また広く市民社会のために働いてまいります。
よろしくお願いいたします。
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posted by 三雲たかまさ at 12:35| Comment(0) | 活動報告

2019年04月12日

任期最後の区政報告会

週末に任期最後の区政報告会を開催し、これまでの活動の報告と新宿区政の課題についてお話しさせていただきました。
会場には海江田万里・衆議院議員、小川敏夫・参議院議員、川田龍平・参議院議員にも駆けつけていただき、激励の言葉をいただきました。
多くの方に参加いただき、2時間にわたり話を聞いていただいたことに感謝しています。

また、所属する行政書士会新宿支部より推薦状をいただきました。支部の皆様の期待に応えられるよう活動したいと思います。

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posted by 三雲たかまさ at 17:55| Comment(0) | 活動報告