7月16日、新宿区情報公開・個人情報保護審議会が開催され、6件の諮問・報告事項について、区側の説明・報告を聞き、審議を行いました。
このうち、「新宿区外転出者の現地調査業務の委託」については、以下のことが説明・報告されました。
・区では、新宿区外に転出した租税滞納者に対し、電話や郵便で連絡が取れない場合、居住実態等を把握するための現地調査を行っている。
・この現地調査を区の職員で実施することは、遠隔地への出張を伴うこともあり、時間及び経費面で非効率である。
・このため、民間のサービサー(法務大臣の許可を取得した債権回収専門業者)に現地調査業務(3カ月間で最大500件)を委託したい。
・既に23区中13区で同様の委託を行っており、成果を上げている。
・委託先については、債権回収専門業者の許可と同時に探偵業届出も行っている者を想定している。
これに対し、出席した委員からは、以下のような質問や意見が出されました。
・債権回収専門業者は、区から委託される業務の他に、金融機関・貸金業者の貸付債権やリース・クレジット債権等の回収を業としており、区が提供する転出者の住所等の情報がそうした民間の債権回収に流用されるのではないか。
・区税を滞納して転出する人の中には多重債務者が一定割合存在すると思われるが、債権回収専門業者が接触することで不安を感じる人も多くいるのではないか。
・なぜ探偵業も兼業で行っているような債権回収専門業者に委託する必要があるのか。
債権回収専門業者が新宿区から租税滞納者の住所等の情報を得た場合、自らの債権回収業で保有する債務者リストと照合し、合致する債務者がいた場合には、区からの委託業務に起因・関連して入手した情報を使って貸付債権やリース・クレジット債権の回収を図るインセンティブがあると思われます。
他方、それを防止する仕組みについての区の説明は、「業者との契約で情報の委託業務以外の目的での利用は禁じる予定である」という以上のものではありませんでした。
このため、区の説明は懸念されるリスクを払拭するのに十分ではないと判断し、この件の報告承認に反対しました(結果は12対2の賛成多数で承認)。
本件については、滞納整理を効率的に行いたいという区の考えも理解可能です。
しかし、租税滞納者は多重債務者であることも多いという経験的な事実に照らせば、そうした方の情報を債権回収専門業者に取り扱わせることについては、十分に慎重を期すべきです。
特に、審議会に案件を諮る以前に、「債権管理回収業に関する特別措置法」や「審査・監督に関する事務ガイドライン」、「債権管理回収業分野における個人情報保護に関するガイドライン」等を踏まえ、情報の流用が生じない体制が確保できるのかを検討する必要があったと思います。
今後、担当課と共に検討を進め、懸念されるリスクが払拭できるよう委託先における情報管理体制を確認したいと思います。