第4回定例会最終日の12月9日、追加議案が提出されたことから、議案の付託を受けて総務区民委員会が開催されました。
議案は以下の3件です。
・「新宿区四谷特別出張所等区民施設特定天井等改修その他工事請負契約」
・「新宿区柏木特別出張所等区民施設地下1階及び1階空調換気設備改修その他工事請負契約」
・「公の施設の指定管理者の指定について」
このうち、前2者については特に問題はなかったのですが、最後の「公の施設の指定管理者の指定について」は、提出に至る経緯から問題があり、活発な質疑がなされました。
今回指定管理者の指定を行う施設は、「新宿区立新宿スポーツセンター」です。
この施設については、現在の指定管理者の下で、昨年秋に利用者の個人情報流出事件が生じたため、次期は新たな指定管理者に切り替わるものと思われており、実際に5団体の指定管理者候補が応募しました。
区では指定管理者の選定に当たっては、選定委員会が書類審査を経て公開プレゼンテーション及びヒアリングによる第二次審査を行うこととしており、10月初旬の第二次審査では、株式会社コナミスポーツクラブを中心とする団体が最高点を獲得して選定されました。
その結果、区は、第4回定例会において、同社を中心とする団体を指定管理者候補とする議案を準備しており、議員にもそのように説明がなされていました。
ところが、他会派の議員から、株式会社コナミスポーツクラブは「名ばかり管理職」の問題で東京高裁から労働基準法違反を認定されており、区が定める応募要件を充たしていないのではないかとの指摘があり、区においても応募要件違反を確認した結果、同社を中心とする団体は指定管理者候補からの辞退を申し出てきました。
このため、区では、選定委員会の審査結果が1位の団体が辞退した場合には2位の団体に打診を行うとのルールに従い、審査で2位となったアシックスグループを中心とする団体に打診したところ、同団体が受諾したため、改めてアシックスグループを中心とする団体を指定管理者候補として今回の議案提出に至ったものです。
しかし、今回の団体についても、他会派の議員から、この団体を構成する株式会社アシックスでは、男性従業員の育児休業をめぐり「パワハラ」「パタハラ」があったとして民事訴訟が提起されているとの指摘があり、指定管理者として適格なのかが問われることとなりました。
質疑では、区側から、辞退した団体の場合には東京高裁による労働基準法違反を認定した判決が確定している一方で、今回の団体の場合には民事訴訟(第一審)が係属中であり、かつ事実関係自体が争われているため、応募要件違反がないとの答弁がなされました。
また、1位の候補が辞退した結果、応募資格を有する第2位候補に対して打診をすることは区のルールに従った扱いであるとの説明もなされました。
他方で、辞退した団体が応募資格を有するか否かについて、応募者が提出する資料を確認するだけでは不十分ではないかとの指摘がなされ、区においても独自の調査の必要性を認めていました。
審査方法についても、公正中立な審査を確保するため、現在は二次審査で団体名や構成事業者を明かさないこととなっていますが、どのような背景や実績を持つ事業者であるかはプレゼンテーション内容の評価にも関わるものであり、むしろ明らかにした方が良いのではないかとの指摘もありました。
また、今回のように応募資格を有しない団体が選定され、指定管理者として業務を開始した後になって応募要件違反が判明した場合の扱いについては、答弁が不明確な点もありましたが、最終的には指定管理者としての指定処分の取り消しがなされることが確認されました。
私からは、今回の団体を構成する会社の訴訟では「パワハラ」「パタハラ」が訴えられているだけでなく、上司の違法行為を内部通報したことに対する報復人事も訴えられている点を踏まえ、仮に裁判所が「内部通報に対する報復人事」を認定した場合には、この会社はコンプライアンス体制の根幹に課題を抱えていることになり、自浄作用(業務体制の改善等)を期待することができないため、判決の内容を精査して指定管理者としての業務を続けていただくか否かを検討する必要が出てくる、と指摘させていただきました。
委員会では、この議案への賛否について意見が分かれましたが、私たちの会派では、@2位の団体については現時点では係争中であり応募資格は失われていないこと、A2位の団体に打診することは区のルールに則った対応であり、逆にルールにも拘わらず打診を行わない場合には当該団体との間で紛争を生じる可能性もあること、B訴訟の結果によっては指定管理者の指定取消しを含む対応が可能であることなどを踏まえ、議案に賛成することとなりました。
同時に、今後は今回の件を参考に指定管理者の選定プロセスを見直し、適切な指定管理者の指定ができる体制を整備することを要望しました。
指定管理者制度の運用が始まって20年近くが経過し、公共施設の管理運営を民間事業者に委ねる事例が増えてきた一方で、個人情報保護条例や公契約条例への対応など、自治体が民間事業者を適切に監督することができるのかが問われる事例も散見されるようになってきました。
公民連携のツールの一つである指定管理者制度が真に自治体住民の利益にかなう形で運用されるよう、議会の側も制度運用の在り方について議論する必要があると思います。